浄土宗教学院では、令和6年4月25日に開宗850年記念事業として、大正大学・佛教大学を中心とする宗学・仏教学・史学等の研究者のご尽力のもと、『浄土宗開宗の総合的研究』を上梓しました。

　本書は、承安5年の宗祖法然上人の浄土宗開宗から850年の節目を迎えるにあたり、その間の歴史を回顧し、法然仏教を俯瞰することにより、日本宗教史における浄土宗開宗の位置付けを明確にするとの構想をもとに、第Ⅰ部「法然浄土教の源流」、第Ⅱ部「浄土開宗の意義」、第Ⅲ部「列祖における法然上人」、第Ⅳ部「浄土宗教団の成立と展開」の四部構成とし、下記に列記の各研究分野の大家および気鋭の研究者による論集として、教学院会員の賛助による積立と浄土宗からの助成によって発刊したものです。

　教学院の会員各位に本書を無償配布し、数年後のWEB公開を予定しておりましたが、書籍の入手に関する問い合わせや院内外から公開を望む声を多くいただいたこともあり、当初の予定を繰り上げ、本日2025年1月25日 宗祖上人のご祥月にあわせて、教学院のホームページ上にて全文をPDF公開しました。

　宗内外を問わず、ぜひとも多くのみなさまにご賢覧いただき、本書が今後の研究の発展に広く寄与することを念願いたします。合掌 

【PDFデータ公開】※クリックすると論稿ごとにダウンロードできます

はじめに

• 浄土門主 伊藤唯眞「御挨拶」
• 浄土宗宗務総長 川中光敎「巻頭のことば」
• 目次

第一部　法然浄土教の源流

• 本庄良文「仏教における聖典解釈の伝統と浄土宗義─説一切有部論書と『選択集』の対比を中心に─」
• 齊藤舜健「浄土宗と『無量寿経』」
• 袖山榮輝「『観無量寿経』をめぐる諸課題」
• 中御門敬教「『阿弥陀経』が与えた法然上人への影響」
• 石田一裕「法然上人における大乗経典の受容について」
• 森山清徹「龍樹と世親」
• 石川琢道「浄土初祖曇鸞大師」
• 曽和義宏「道綽」
• 工藤量導「迦才について」
• 柴田泰山「善導の『観経疏』」
• 齊藤隆信「善導大師の浄土教儀礼」
• 長尾光恵「懐感『釈浄土群疑論』における浄土教理」
• 加藤弘孝「法然所引の宋代浄土教典籍」
• 伊藤茂樹「奈良時代の阿弥陀信仰」
• 和田典善「比叡山における浄土教の勃興と展開」
• 南宏信「源信『往生要集』と法然浄土教」
• 齋藤蒙光「念仏宗の永観」
• 成瀬隆順「易往を求めた珍海、易行を極めた法然」

第二部　浄土宗開宗の意義

• 林田康順「法然上人思想史の回顧と展望」
• 曽根宣雄「法然上人の阿弥陀仏観─研究動向を中心に─」
• 安達俊英「法然浄土教および浄土宗教団と本覚思想」
• 市川定敬「法然浄土教における諸行往生論争」
• 春本龍彬「浄土宗の開宗について」
• 小川法道「法然と三昧発得」

第三部　列祖における法然上人

• 郡嶋昭示「二祖聖光上人の生涯と思想」
• 大橋雄人「良忠上人における法然上人顕彰」
• 服部淳一「浄土宗義の伝承─聖冏、聖聰が伝えた教え─」

第四部　浄土宗教団の成立と展開

• 伊藤真宏「法然上人の布教伝道」
• 坪井剛「「建永・嘉禄の法難」事件と「専修念仏禁止令」」
• 中野正明「法然遺文について」
• 善裕昭「初期法然伝の研究史」
• 小此木輝之「法然門下の関東武士─熊谷蓮生の「夢の記」を中心に─」
• 野村恒道「法然教団の諸系譜」
• 伊藤真昭「中世浄土宗の実態─法然浄土教からの乖離─」
• 宇髙良哲「浄土宗の談林・檀林について」
• 長谷川匡俊「江戸時代の信仰と教化」

おわりに

• 浄土宗教学院理事長 本庄良文「あとがき」
• 英文目次（CONTENTS）
• 執筆者紹介
• 刊記

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